入門ODはいままで音色研究会に問い合わせのあった内容を踏まえて、エフェクター自作に慣れていない方や自作してみたけど完成まで至らなかったという方が作れるように入手しやすい電子部品の構成から回路を自社設計し製作手順のマニュアルを作成したものになります。
自作に興味を持って、はじめてチャレンジしてみる方が完成までいけるようにできるだけ作りやすくわかりやすく部品を揃えやすくしてみているつもりですが、入門用と侮れない音色でとても扱いやすいオーバードライブです。
はじめて自作エフェクターを作ってみる方や作ってみたけど失敗したなど不慣れな方も参考にしてください。
【入門OD付属品】
・NyumonOD2.0基板
・穴加工済みケース
・3PDTスイッチ
・3PDTスイッチ用基板
・3mmLED
・LEDブラケット
・LED用抵抗(3kΩ)
ケースの穴径はポット:7mm、LED:6mm、DCジャック:9mm、IN/OUT:9.5mm、SW:12mmになっております。
DCジャックはマル信無線電機のMJ-40を、IN/OUTのジャックはマル信無線電機のMJ-185やMJ-187、Switchcraftの#11や#12Aなどのジャックに対応していますが、それ以外のものを使用する際には穴径を広げるなどの加工が必要となると思います。
その他準備しておくパーツ等は【入門OD部品配置図】を参照の上ご準備ください。
【①基板に部品を付ける】
基板に電子部品を取り付ける際には、背の低いものから取り付けます。
抵抗・ダイオード→ICソケット→コンデンサの順番が取り付けやすくなると思います。
基板に部品を取り付けるのは逆作動ピンセットなどを利用して固定し、はんだ付けすると部品のずれがなく取り付けやすいですが、なければ輪ゴムなどでも代用可能です。
(熱が伝わる部分には触れないよう要注意)
GND部分へのはんだ付けは熱が逃げやすくはんだが付きにくい箇所になりますので、はんだごてに温調機能があるならば温度を高めにして一気につけると取り付けがスムーズになります。
はんだ付けして余った部品の足はニッパーで切り取ってください。
オペアンプはソケットにはめ込むだけなので、はんだの熱を通さないように完成直前まで取り付けないほうが良いと思います。
※はんだに自信のない方、不慣れな方は「はんだについて」の記事を参照ください。
【②ポットの下準備】
ポット(ボリュームポット/可変抵抗)に線材を取り付けておきます。
線材は被覆を10mmほど剥いて心線をねじって真っ直ぐにし、予備はんだをしておきます。
線材の長さは10cmもいらないですが、長い分には切って調整できますが短いものはどうにもなりませんので短すぎに注意しましょう。
※予備はんだってなに?って方やはんだに自信のない方、不慣れな方は「はんだについて」の記事を参照ください。
ポットには回転防止の突起がついているものがありますが、これを活かすとなるとケースへの加工が増えてしまいますので、この突起をニッパー等で折っておきます。
画像で使用しているポットは16mm、ネジ径が7mmの一般的なものですが、これ以上大きいものだとケースに収まりきらなかったりケースへの加工が必要になってしまいます。
ポットの配線についてはボリュームポットについての記事を参照ください。
ポットの基板への取り付けを間違えてしまうと音が出なかったり、不思議な音が出てしまったりと不具合の原因になってしまうので、背面にしっかり名前を記入しておくとよいと思います。
※中身は蓋をしてしまえばどうせ見えません
基本的に部品同士や部品とケースが触れてしまうと音は出ませんのでパーツを取り付ける際にはケース内面にテープを貼っておくなどの絶縁処理をしておくと「完成したけど音が鳴らない」などの不具合の原因を減らすことができると思います。
※写真では絶縁処理されていません
【③LEDの準備】
LEDの配線についてはLED配線図と実配線についての記事を参照ください。
LEDをケースに取り付ける際には入門OD付属のLEDブラケットを利用すると便利です。
配線したLEDに②を通しておいて、ケース外側から①をはめ込み、③を挟んで取り付けます。
※ケースや使用するLEDによっては③のスペーサが不要な場合があります。
取り付けた際にLEDの足をケースにくっつくように折り曲げておくとブラケットが外れる防止にもなります。
3mmLED専用のブラケットになりますのでLEDは3mmのものを使用してください。
【④DCジャックの準備】
配線図と実配線の記事を参照ください。
写真の配線は白い配線が9Vで黒い配線がGNDになります。
使用しているジャックは2.1mm3端子ジャックで径が9mmです。
ケースの内側から取り付けるタイプのものになり、ケースの外側から取り付けるタイプのものよりも配線や取り付けが楽になります。
これ以外のものを使用するとケースの穴径が合わず加工が必要になります。
【⑤SWの準備】
入門ODに付属しているSW基板にLED用の抵抗を付けておきます。
抵抗の値は使用するLEDによって変わりますが、3kΩくらいつけておけば問題ないです。
抵抗はケースの蓋に干渉してしまうので基板の裏側から取り付けます。
※小型抵抗ならば表面でも問題ありません
基板のP1・P2・P7・P8・P5に配線を取り付けます。
P1はNyumonOD基板のIN、P7はNyumonOD基板のOUT、P2がINPUTジャック、P8がOUTPUTジャック、P5がGNDになります。
配線ミスを防止するためにできるなら配線はわかりやすく色分けする、または配線にテープを貼って書いておくなどのなんらかの印を付けておくといいと思います。
基板にSWを取り付けます。
SW端子が曲がっていたりすると基板がはめ込みにくくなりますのでしっかり奥までSWと基板が水平になるように取り付けてください。
SW端子の6番は使用しないのですが、一応固定の意味を含めて9ヵ所すべてはんだ付けしてます。
SW端子の穴が大きめですのではんだはけっこう入っていくかと思いますが、はんだを山盛りにする必要はありません。写真がはんだ付けした後の様子になりますので参照ください。
SWをケースに取り付ける前にLED・9Vの配線をSW基板にはんだ付けします。
SWの取り付け位置に合わせてケース内で配線を取り回しおおよその長さにカットして取り付けますが、ここで配線が短くなりすぎると大変ですので馴れないうちは配線の長さにある程度の余裕をもたせておくと製作が楽になります。
※慣れてくるといかにきれいに配線を取りまわすかを検討するようになり、ギリギリの長さを攻めることになっていくと思われます。
LEDと9Vの配線をはんだ付けしたらSWはケースに取り付けます。
【⑥ジャックの取り付け】
INPUTとOUTPUTのジャックを取り付けます。
INPUT側はステレオジャック、OUTPUT側はモノラルジャックになります。
ステレオジャックは3端子、モノラルジャックは2端子です。
どちらもモノラルジャックでもいいんですが、シールドを刺していなくても9Vアダプターが刺さっていればエフェクターがON/OFFしてしまうことになってしまいます。
(気にならなければ問題ありません)
※写真ではたまたま電池ホックを付けたときのものですが、入門ODは電池を省略してます。
かえってわかりにくくなってたらすみませんが実配線図です。
配線の色分けは見やすくするためで意味はありません。
この配線じゃないとダメということでもありませんが、比較的わかりやすい配線例かと思います。
ジャック部はこの端子はここにつながっていてこういう構造ですという色分けをしてありますので、ジャックを見てどの端子がどれなのかわからない際には参考にしてテスターで確認してください。
INとOUTのジャックについての記事も参照ください。
ジャックやDCはケースに取り付ける前に配線し、はんだ付けしてからケースに取り付けると楽に配線できると思います。
【⑦ポットと基板の接続】
ポットの1~3番の端子を基板の1~3にはんだ付けします。
ポットの番号についてはボリュームポットについての記事を参照ください。
配線の長さはいい感じにカットして取り付けますが、短すぎると面倒なことになります。
【⑧完成】
上記⑦の工程までではんだ付けは完了です。
蓋を閉じる前にオペアンプをソケットに取り付け、ここで動作確認を入れておくとよいと思います。
ここまでで音が出ない場合は
①基板上の部品の取り付けミス
②配線ミス
③部品の不具合
④どこかの部品や端子がケース等に接触している
などが考えられます。
動作チェックがOKであれば、蓋を閉じますが絶縁処理を行っておきます。
弊社試作品を作る際には、基板のクッション材にカッターで切ったスポンジを敷いて、クリアファイルをカットしたものを蓋との絶縁に使用してます。
できれば絶縁はケース内壁と蓋にもテープを貼るなどしたほうが良いかもしれません。
※たまたま電池付きで試作したものですが入門ODは電池を省略しています。
蓋を閉じてつまみを取り付けて完成になります。
つまみはポット全閉時に7時くらいの位置だとちょうどよい感じになると思います。
お好みで表面にシールを貼ってVolやGainなどの表記があるとわかりやすくなると思います。
※試作品を作る際の製作時間の8割はシールのデザインにかかっていました。